Jul 25, 2008

月を落とそう

あたしはあたしの思考を終わらせる
あたしはあたしの記憶を終わらせる
あたしはあたしの命を終わらせる

あたしはあなたの中のあたしも終わらせる
あたしはあなた達の中のあたしも終わらせる

あたしはあたしを終わらせる
永遠に

さぁ
月を落とそう

Jul 24, 2008

慣性飛行

第二宇宙速度を得たあたしは
惑星の重力と遠心力を少しずつ借りて
太陽系を脱出する

もう間近に月を見られないことだけがあたしの唯一の気がかり

僅かに残されたエネルギィで軌道修正を繰り返し
あたしは流星とおっかけっこをしながら
ただ銀河の中心を目指す

そこに何が待っていようとも

砂の涙

アンドロイドはヒトと呼ばれるものに仕えた
ヒトは特別で絶対だった
いつしかヒトになりたいと願った

こころと呼ばれるものを持ちたいと

感情に操られたい
恋をしてみたい
夢を見てみたい
笑って涙したい


きっと気づくことはないだろう
それがこころだということに

Jul 23, 2008

侵蝕

わたしを構成する一部となる
見たくないものが
聞きたくないものが

雑音はわたしのこころを蝕む

溢れている
溢れている

わたしはただ自分でいたいだけなのに

残されたわたしが抵抗する
たとえ何も残らなくても

Jul 5, 2008

夜道

どうして

わたしはまだ歩いているのだろう
わたしは歩かされているのだろう

目を閉じて
呼吸を止めて

明日という日が来なければ
昨日を思い出すことも無いだろう
今日を嘆くことも無いだろう


わたしはまだ歩いている
暗い夜道を

Jul 1, 2008

新しい風

新しい風が吹く
流されることに慣れてはいるけれど
立ち止まる場所さえ与えてはくれない

一瞬でも目をそらせばそこはもう異世界

未来を羨むことなど何の意味も無いことを
わたしは肌に刻み込んできた

そう
それが唯一のわたしの糧なのだ

無垢

あなたがあの人に触れたいのなら

あの人の目線まで降りてきてください
あの人の優しさに報いてください


あなたがあの人の声を聴きたいのなら

何も主張しないでください
何も発しないでください


感じるはずです
その痛みが

聴こえるはずです
その叫びが